一ドル二OO円で日本経済の夜は明ける

一ドル二OO円で日本経済の夜は明ける
藤巻健史著
発行元/講談社
「円安でインフレ」こそが、景気回復と構造改革を両立させる最良の選択である!"東京市場の伝説のディーラー"として知られる著者が、日本経済を立て直すための処方箋を提示する。
現在の日本経済の問題を全て解消できるのはインフレだけであり、インフレは円安で作ることができる。円は現在、実体経済に比べて強すぎる状態にあるため、「円安を作ること」も可能である。
構造改革の必要卜生も言を待たないが、今の日本は急激な改革には耐えられない。従って、インフレによって景気を回復させる一方、同時に「マイルドな構造改革」を進めていくべきである。
インフレになれば、今とは正反対に景気がスパイラル的に良くなっていくことになる。
まずインフレによって、企業は借金の返済が楽になり、また製品も見込み以上の価格で売れるようになる。こうして企業業績が回復すれば、株価低迷と雇用不安が解消され、ひいては個人消費も回復することになる。
また資産インフレ(地価の上昇)により、不良債権問題も解決される。財政赤字問題については、もはやインフレによって解決するしか方法がないところまで来てしまっている。
日本は"為替の安定"にとらわれ過ぎてきた。その結果が、実力を大きく超えた「円高状態」だ(著者は1ドル=250円が実体経済を反映した自然な水準「べき論」なら1ドル=300円だとする)。
また為替政策を景気対策に用いることも、外国では常識である。"円安反対論"も誤りだらけである。まず"アジア諸国の輸出への悪影響'については、今やそれよりも日本の経済不振による輸入減の方が大きな悪影響を及ぼすことになると考えられる。
また現在の為替水準では、円安政策に``米国が反対する"ことも考えられない(バブルのピーク時ですら1ドル=140円だった)。
"貿易摩擦問題の再燃"についても、モノだけでなくサービスを合わせればすでに日本め黒字は急速に減っており、円安によって問題が生じる状況ではなくなっている。