お金とモノから解放されるイギリスの知恵

お金とモノから解放されるイギリスの知恵
井形慶子著
発行元/大和書房

人生を豊かに生きるのにお金は要らない!渡英40回以上、イギリスを知り尽くした著者が、質素ながらも堂々と自らの暮らしを楽しむイギリス人の生き方、その価値観を紹介する。
今、わが国全体の現金預金残高は776兆円。これに対し、イギリスは99兆円。ところがどれだけ金、そしてモノがあっても、日本人は深い満足を得ることができず、疲労感、不安に苛まれている。
一方、「ケチ」で「古い物好き」「頑固」と椰楡されるイギリス人の暮らしをのぞいてみると、そこには日本とは違う価値観が息づいており、人々は実に個性的で豊かな生活を楽しんでいる。
例えば、質素なイギリス人の余暇の柱であるパブ。男たちは、家族と夕食を済ませた8時頃からパブに出かける。パブに顔を出せば知り合いの誰かがいる。彼らにとっての最大の楽しみは、人との触れ合い、語らいであり、酒を飲むこと自体が目的なのではない。会社帰りに、仲間と連れ立ってストレス解消のために酔いつぶれるまで飲む日本人男性とはその動機が違う。1人で出かけて楽しめるパブはいわば"コミュニティー"のようなものであり、イギリス人にとって暮らしに根づいた貴重な場となっている。
私たちの生活に欠けているものは何か、満足のいく暮らしとはどういうものなのか。それを考える上で、こうしたイギリス人の暮らしぶりは大きなヒントを与えてくれる。

生活を楽しみ、豊かにするイギリス人の知恵
・欲しい商品があっても衝動買いすることなく、慎重に下調べをした上で買う。また、品質の良い古道具を安く買い、利用する。
・古い家に時間をかけて手を加え、「世界にただ1つの自分の家」を作ることに喜びを感じる。そして家だけでなく、その周囲の環境をも大切にし、そのまま保持し続けることに努力を払う。
・選挙の際、例えば「チョコレートビスケット党」といったユニークな政党を作って立候補するなど、既成政党の"正論"だけでは面白みにかける選挙を楽しむ。
・教育を学校任せにせず、家庭やボーイスカウトで、子供が小さい頃から独立心、責任感そして共に生きることの大切さを培う。