決断プロフェッショナル

決断プロフェッショナル
失敗しないための思考と技術
今村栄三郎著
発行元/光文社(光文社新書)

情報があふれ返る今日、何をよりどころにすれば誤りなく決断を下すことができるのか?経験やカンに頼らない、的確な判断の技術を"決断プロフェッショナル"に学ぶ。
昔から、「成功者たちの決断は速い」と言われている。では、なぜ彼らは決断が速いのか?それは、決断に至るまでの「プロセス」がしっかりしているからである。
多くの人は「ひらめき」や「その場の思いつき」に基づいて決断を下している。もちろん、これらを全く否定することはできない。
ただ、「ひらめき」や「思いつき」を重視する場合でも、あくまでも決断までのプロセスがしっかりしていることが重要である。
成功者が決断を下す際の特徴の1つとして、「誰のための決断」かということが非常に明確である、ということが挙げられる。ところが、経営管理者350名に対して行われた"決断"に関する調査によると、93.5%が「誰のために行うか」ということを全く考慮に入れていない(マネジメント研究所1997-98年調査)。
この結果からもわかる通り、自分のひらめきといったものに直観的・刹那的に突き動かされて決断を下すケースがあまりにも多い。
自ら決断を下そうと意識した時、この決断は誰のための決断であるかを、まず明らかにすることが必要である。
さらに、成功者の決断の特徴として、頭脳の中のスクリーンに「決断までのプロセスを映す」ということが挙げられる。彼らはその映像を見ながら、瞬時に情報を整理し、ヌケやモレ、堂々巡りを排除する。そして、可能な限り情報の中身を具体的に絞り、比較する。つまり成功者というのは、決断に至るまでのプロセスを映像化するのに長けているのである。
「意思決定のスピード」「決断の目指す対象が明確」「決断に至るプロセスの映像化」この3つが、成功者の決断の特徴である。そして〉決断に至るプロセスは、「シンクポイント(考えるポイント=意思)」の連鎖によって構成されており、単なるひらめきや思いつき、幸運、偶然の作用とはほとんど無縁である。