利権クラッシュ

利権クラッシュ
著者:石渡正佳
発行:WAVE出版


「構造改革」の必要性が叫ばれて久しい。だが、すでに多くの時間と労力が費やされているのに、成果が得られないのはな
ぜか?それは、「構造の罠」の解明が不十分だからだ。
現役の地方官僚である著者が、中央集権の利権構造を解き明かし、その改革を成し遂げるための方策を提示する。
日本の政治・行政・経済の構造問題を改革するには、その根底にある「構造の罠」を解明する必要がある。構造の罠の本質とは、「官(行政府)と業(産業界)の相互作用」である。
公共事業における談合や、官僚接待、贈収賄などの不祥事が後を絶たないのは、「経済の二重構造」に問題があるからだ。
民需と官需の価格差に代表される「二重価格の構造化」にこそ、メスを入れなければならない。
二重構造の温存と、二重価格の構造化は、政官業の癒着により守られてきた。この構造を支える経済政策は、「規制」「公共事業」「補助金」の3点セットである。
経済の二重構造は、米国の規制緩和圧力や、冷戦終結の影響などにより、すでに崩壊が始まっている。金融、建設、流通などの業界で倒産が相次いでいるのは、この二重構造の崩壊によって起きた「利権クラッシュ」が原因である。
日本経済はもはや中央集権、一国一制度でコントロールできる規模ではない。大胆な地方分権を推進することが必要だ。
その方策として、7つの経済圏を基本とする「道州制」を導入すべきである。
それぞれの道州政府は、課税権を持ち、自主的に経済政策を実施する。このような道州制による一国多制度こそが、利権構造を解体し、経済のグローバル化に対応できる、「ボストニ重構造経済」の姿であるというのだ。