中国経済超えられない八つの難題

中国経済超えられない八つの難題
程暁農編著
坂井臣之助/中川友共訳
発行:草思社

中国の繁栄は本物なのか?中国経済の「ひとり勝ち」論が喧伝される中、隠された真実を第一級の研究者、専門家が「内部」から初めて率直に描き出したのが本書である。その大胆な内容ゆえに、中国では発表することができないという学術雑誌『当代中国研究』から抜粋された論文の数々は、中国が市場化を始めてから25年の間に生じた深刻な歪みを検証している。

中国当局発の情報からは決して見えてこない、現代中国の真相が明らかになる。
中国経済は驚異的に成長しているように見えるが、その裏には次のような深刻な現実が潜んでいる。
中国が高い成長率を達成しているのは、政府が国債を増発し、大規模な公共事業などを推進しているからである。
北京、上海といった限られた地域へ集中して投資が行われているため、貧富の二極化が進行している。
株式市場と不動産業が活況なため、繁栄しているように見えるが、それ以外の実体経済は不況にあえいでいる。
中国経済は7~8%の高い成長率を維持する一方、失業者の増加など、繁栄とは矛盾する現象が起きている。これは、中国がまだ完全な市場経済体制になっていないからである。従って、経済指標などの数値を西側諸国のそれと比較しても意味がない。
中国の株式市場は、特殊な市場である。政府は「国有企業を苦境から脱却させる」ために資金を取り込もうと、効率の悪い多くの国有企業を上場させている。従って、資本主義経済体制における株式市場と同一視はできない。
中国の経済問題は、純粋な経済問題ではなく、政治制度上の背景を持っている。一党専制の独裁政治を続ける限り、これらの問題は解決できないだろうというのだ。