「儲からない」と嘆く前に読む会計の本

「『儲からない』と嘆く前に読む会計の本」
近藤学/著
大和書房
出版年月:2007年11月
1,470円(税込価格)

「小さな会社」も、お金の流れがわかれば儲かるようになる。
中小企業の経営者の中には「会計のことがあまりわからない」という人もいる。会社の未来を考えると、人任せにしないで会計のことを把握するべきだ。
小さな会社の経営に役立つ会計術を教えてくれます。財務指標は小さな会社の役には立たない。経営を変えるシャンパンタワー会計理論。小さな会社はプチ無借金経営を目指せ。節税の損得はキャッシュフローで考えろ。小さな会社の知恵サービサーとリバースモーゲージ。儲かる仕組みをつくるほんとうの会計術とは。大企業は経常利益は重要な経営上の目標数値ですが、年商が1億円以下の会社では意味をもたない。会社の経常利益が5%でも、奥さんが節税目的で役員給与にすると、利益は吹き飛んでしまう。一般に流布している標準化された会計のルールでは、会社の数字を説明しても、中小企業の経営者はだめだ。
企業の財務諸表は金融機関など第三者が会社の経営状態や安全性を知るために作られるものだから財務諸表は、経営の判断には使えない。会社のキャッシュフローに注目し、損益計算書には作為を施す余地があってもキャッシュフローはウソをつけないのだ。
「シャンパンタワー会計理論」は明快で、通常の損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書を並べて見ただけではわからなかった「本当のキャッシュフロー」が一目瞭然となる。
「シャンパンタワー会計理論」を理解し、資金繰り悪化の原因も明らかになる。プチ無借金経営を実現するための方向性もわかり、節税の損得判断もできるようになる。
著者が生まれ育った京都を舞台に小説仕立てで、ユーモアを交えながら楽しく学べる。専門的な説明は欄外にコラムとしてまとめられ理解を深めたい人は、そちらを読めばよい。
小説の展開で読み物として楽しみながら、自然に会計の知識が身につくユニークな本だ。
事業は順調でもキャッシュが減っていく現象に悩むジュエリー輸入販売の社長、創業者の父親が突然亡くなって会社を引き継いだばかりの新米の経営者、両親が税金で苦しんで節税の鬼になったIT企業の経営者など、次々と中小企業の経営者がストーリーの中に現れので、飽きずに読み進めていくことができる。
著者の近藤学氏は、会計事務所勤務の経験の後に京都に事務所を開き、「小さな会社のかかりつけ医」として活躍しているのだ。