二宮尊徳に学ぶ経営の知恵

「二宮尊徳に学ぶ経営の知恵」

◇大貫章/著  
◇産業能率大学出版部 
◇出版年月:2006年6月 
◇ISBN:978-4-382-05559-9 
◇1,800円(税込価格)

複雑な経済のしくみは、どのようにして始まったのでしょうか?その原点ともいわれるしくみは江戸時代の頃から始まっていたのですが、そのことに一生をかけて取り組んだ人物がいるのです。
この本では、農政家として江戸時代末期に活躍した、二宮尊徳(金次郎)という人物が広めていった、この時代では画期的な村おこしの方法で村を救済した“報徳仕法”とはどんなものなのかが、わかります。

第一章 彼は一家を再興したか
第二章 彼は村々を救済したか
第三章 実践哲学としての《報徳訓》
第四章 現代にも通用する経営改善のヒント
第五章 道歌に見る尊徳の哲学と思想
第六章 尊徳の影響を受けた経済人たち

最初に驚いたのは二宮尊徳が農民という立場で世の中を動かすまでの人物になっているということでした。江戸時代は国を治めるのは役目だということを考えると、二宮尊徳がどのようにして出世をして武士に意見を聞かれる立場にまで上り詰めたのかが興味を感じるところです。
そんな中、暮らしを維持するために頑張っている両親の背中を見て育ったそうです。両親は早く亡くなりますが、彼はたった1人で売られてしまっていた土地を1つ1つ買い戻して、農家の主として最出発をします。
仕事を通して広く世の中のことを知り、武家社会についても深く知ることになって、問題点にも気づくようになりました。二宮尊徳がアドバイスをすると、彼に財政を立て直して欲しいと申し出る人が後を立たなくなったそうです。
やり方で、十分に通用する手法を、二宮尊徳は思考から生み出していきました。財政面では人物でしたが、けっしてケチな人では分は復興などに幸せをに考える人だったそうです。