デジタル・ビジネスデザイン戦略

デジタル・ビジネスデザイン戦略
最強の「バリュー・プロポジション」実現のために
A・J・スライウォツキー/D・J・モリソン共著
成毛眞監訳
発行元/ダイヤモンド社

ITの単なる導入だけでは、強い企業はつくれない!経営の根幹を変革するためには、どのようにデジタル技術を用いればよいか、企業にとっての"真のデジタル化"を説く。
この十数年の間に、インターネットやEメール、さらには通信衛星、全地球測位システム(GPS)などが急速に普及し、まさに「IT革命」「デジタル革命」と呼べる状況が生まれている。
企業はそうしたデジタル技術を積極的に導入しているが、しかし、その多くがさほどの成果を上げていない。インターネットを駆使したドットコム企業が急増したが、今ではそうした企業も淘汰選別されている。
そうした不振の最大の理由は、単にデジタル技術を導入しただけ、という点にある。
「真のデジタル化」とは、まず自社のビジネスの流れを抜本的に見直してビジネスデザインを描き、その上でデジタル化を進めて、顧客の要望を迅速に満たしたり、「ユニークネス(卓越した差別化)」を追求したり、生産性を飛躍的に向上させることにある。それが「デジタル・ビジネスデザイン(DBD)」である。
DBD化によって、事業の生産性や業績を劇的に向上させることができる。特に「資産」「コスト」「サイクルタイム」の3分野において、従来の10倍、20倍といった生産性の向上が可能になる。
その際に重要なことは、これまでの事業活動を、「アトムの管理(物理的な資産の操作)」から「ビットの管理(情報の操作)」へと移行することである。
古くからある運送業やセメント業界でも、DBD化を進めることで高業績を上げている企業が存在する。すなわち、あらゆる業界の従来型企業がDBD企業へと変身できるのである。
この30年で顧客は、企業が提供する製品を黙って買う「受動的な顧客」から、自分の望むものを主張する「能動的な顧客」へと大きく変わった。「能動的な顧客」を獲得するためにも、DBD化によって、迅速かつ低コストで応対できるようにしなければならない。