星野仙一の悪を活かす人づくり

「星野仙一の悪を活かす人づくり」

 ◇永谷脩/著
 ◇二見書房
 ◇1,500円(本体価格)


「ダメ虎」再生を成し遂げた、星野仙一監督の“悪”の知恵とは?
                      


タイトルにもありますが、「悪」という言葉は聞こえが悪く、人を騙したり傷つけたりすることや、犯罪の類を思い起こしてしまいがちですがここで言う「悪」は違います。
波風を立てず平和的に物事を進めることを善とする傾向がありす。
偽善を妥協を捨て、時には揺さぶりをかけ、非情に徹する冷徹さをもって行うこと──それがこのタイトルで述べる「悪」です。

本書は序章「『ダメ虎』はいかにして再生されたのか」で六章から構成されています。
活性化は「血の入れ替え」から始まる第二章 危機に強い組織づくり人づくり第三章 最強の敵を叩くことで士気を高揚させる第四章 自分の色に個性を活かす第五章 中日時代若き猛将の人使い術第六章 競争原理の応用で人を変え組織を再生
──あえて波紋を広げ刺激を与え組織を揺さぶることで活性化を図る。
勝つことだけを主軸にとらえた、星野監督の硬質なポリシーが見えるそのやり方は、非常にストイックで計算高いです。
熱血派・体育会系・闘将などというイメージはありません。
思い切りが厳しいやり方です。
敵も作り出し多くの不穏な視線も浴びるのは必至です。
星野監督は、それを実行しました。
団塊世代はニューリーダーの突き上げやリストラにあい、存在感を失い元気を失っている状態だと言われています。
頑張りがその「団塊の世代」に勇気と元気を与えてくれ「オレたちも頑張ろう。頑張れば何でもできる」と思わせてくれたことを感謝したいと著者はあとがきに記しています。
リーダーとして組織づくりに勤しんでいらっしゃる方そして「団塊の世代」と呼ばれる方々に、一読をお薦めします。